おとぼけほすぴたる
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皮下気腫
怖い人の看護で思い出した
肺の手術後の患者、皮下気腫を起こしているらしい。
カルテにも【マーキング禁】とか書いてある。
以前の職場では皮下気腫起こしたら、大きさの増減をみるために
油性黒マジックで皮下気腫の大きさをマーキングしていた。
状況を知らない私は、術後の観察目的で病室に入った・・・。
あ、黒い服の人たち・・・・。
まさか・・・。
体を拭くために恐る恐る病衣を脱がす。
や、やっぱり・・・・・・。
体中に絵が施されている。
【マーキング禁】の意味が一瞬でわかった。
桜吹雪や鬼の面・・・女の人の顔・・・・。
え?皮下気腫・・・・どこ?あるんだろう?
本人にきくのもなんだか変だし・・・・。
体中さわりまくっても変態と思われるし・・・・。
あ〜怖いよ〜 そういう人ならそうと申し送りで教えてよ〜(涙)
あ、そういえば申し送りで「左の乳首に近いところとかいってたような・・」
左の乳首には怪しげにほほえむ女の人が書いてあった。
焦っていることを悟られないように、
「ちょっと触らせてくださいね」と触った・・・・。
ぴんぽ〜ん よかった 皮下気腫だよ〜(安心)

詰所に戻ってカルテをみると
【皮下気腫 般若の角あたりから女の人の目まで】・・・
おぃおぃ〜プロなら左第4肋間鎖骨中線とか表現あるやろ!
しかし、ちゃんと情報収集してから検温にいかなあかんわ・・・
つくづく思った出来事であった。

吸引
今年も風邪がはやっている・・・。
私ものどが痛くて 痰が切れない・・・・。吸引して〜と思ってしまう。
ふと、思い出したことがある。
OP後の患者で、痰がうまくとれないことはよくあること。
「肺炎にならないように痰を出しましょうね〜」
といっても手術の傷が痛いからそうそう力を入れて痰を出せない。
で、吸引をしないといけないなぁ〜ってなっちゃうんだけど・・。
痰がいっぱいありそうな肺音・・・。
しかし、その人に吸引を申し出る勇気がなかなかでない・・・。
そう、その人は俗に言うかたぎの商売ではないらしくって
OP後ということもあり、黒い服を着た弟分らしき若者が3人も
病室で構えている。病室に入るたびに視線を浴びる
悪いことしてないのに・・・監視されているようだ・・・。
でも、やっぱ 肺炎になったら余計によくない!

私  「あ、あの・・・。痰が切れずに苦しそうですねぇ・・・・」
患者「ゼイゼイ・・・いや、大丈夫や!どの看護婦も同じこといいよって!」
私  「でも、胸の音が、痰が詰まってるみたいな音がしてるんですよね」
患者「で、?」
私  「痰を出さないと肺炎になる可能性があるんですよ、では吸引します
     口を開けてください」(半ば強引)
患者「うごっ」
がががががーーっ じゅるじゅる〜〜きゅ〜〜〜じょぼじょぼーーっ
あ、患者が怖い顔でこっちみてる・・・・それも涙目やん・・・
あ、若い衆もなんだかこっちみてる・・・
吸引終わるとなんか言われそうで怖いな・・・・緊迫した状況や・・・
私 「あ、あ、ほら こんなにいっぱい・・・痰が・・・・」
患者「なにしとんねん!殺す気かぁ!わしを誰やとおもってんねん!」
私 「でも、肺炎にならんようにするための大切な処置ですから
    しんどいけど我慢してください」
といってそっとそっと部屋を出ていった。
自分ではクールに部屋を出ていったつもりだった。
ガシャ・・・(病室の扉が開いた!!!)
患者の付き人  「看護婦さん〜っ」
私はどきどきして、振り返るのがやっとだった。
患者の付き人 「忘れ物やで!」
みると、聴診器も患者の状態を書いたボードも
病室に置き忘れたままでてきたらしい・・・・。
めっちゃ緊張してたんばればれやん;_;
どうして、かたぎではない商売の人の前に行くと
みんな普通でいられなくなるんだろう・・・・・。(笑)
でもそんな偉い幹部でも患者になれば、20そこそこの
看護婦のいいなりにならなあかんのんは立場のなせる技!
元気なときに吸引したら後でどんなことになっていたか・・・!
看護は命がけ^^

○みちゃん
うちの職場には とってもまじめでとってもかわいい大好きな彼女がいる。
彼女の名前は○みちゃん人気者である。
○みちゃんはキュートでやることもめちゃめちゃかわいい。

土曜日、○みちゃんはお出かけ先でお買い物をしようとして
銀行のキャッシュカードコーナーに駆け込んだ。
○みちゃんは3万円引き出そうと案内に沿ってATMを操作。
ぴっ ぴっ・・・これで買い物ができると思った。
カシャカシャカシャ・・・? ん?
お札が一枚一枚でてくるときの音が・・・3万円にしては妙に長い
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ・・・・・・・・・・・∞
え??え??????
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ・・・・???え?3万円?え??
え?なんでなんなの?え?
あ、音が止まった・・・・。
シャーッ・・・・
ATMの現金投入口が開いた!!!!!
@@!
なんと現金が73万円がこっちをみていた
○みちゃんは やばっ!と思って預け入れをしようと
ATMを操作しようとした・・・
のぅぅぅぅぅぅぅーーーーーっ!!!!!!
今日は土曜日・・・・預け入れできないやん!
こんな大金もってうろうろできないよ(泣)
○みちゃんは その日買い物にきた銀座で
買い物をせず帰った。
この日彼女の行動が何だか挙動不審だったのは間違いない・・・。

NHK収録
高血圧についての番組の収録があるということで、イベントナースとして
お友達を誘って5人で行くことになった。まぁ映らないし、適当に綺麗な人でも
という感じで かなり 楽しみにしていた。
当初「道行く人の血圧を測ってデータをとる仕事、いろいろ参加の人に
血圧のこときかれると思うから、生活指導してあげてね」
ということで
気楽に 現場にでかけていたのだ。

初めてのNHK、それも何故だかとなりの楽屋は「円ひろし」・・・し、しょぼい・・・。
ここって関西?でも 実物みたら そばによってみたいなぁ〜。うへへ。

そして、案内のおねぇちゃんに私たちの楽屋に連れて行かれ、着替えることに。
え???えぇ?????
普段 100%履くことのない白いストッキングの用意までしてある。(普通は肌色だよねぇ〜)
ま、まさか。!_!
みると かぶりのDr白衣ではなく ちゃんとしたナース用白衣。
ちゃんと ナースキャップも用意してある。
出演するんだ;_;
データ取りじゃないんやんかぁ!ほんまはぁ!

お衣装を着たら 次に メイク室・・・。
聞いていないよ・・・。こんな格好で メイクかぁ?
メイク室では「え?本物?やだぁ〜劇団の人だとおもった。」と言われ、
ちょっと 複雑な気持ちになって 楽屋で出番待ち。
ロケ弁ももらって いたれりつくせり。。。。
一体なにがおこるんだ????

「看護婦さん お願いします〜」
NHKホールの前に 白衣姿の5人・・・。
目の前には 若いおにぃちゃん達がバンド活動して
めちゃへたなうなりを響かせる。
歩く人々がみんなこっちみてるよ〜。
じじぃたちが、おねぇちゃんたちかわいいねぇ〜とよってくる。
生き地獄絵ナースバージョンかぁ?
血圧測定中、よっぱらいまで参入・・・。
さらには 勘違いしたおぢぃの群!群!
「私は80歳になりました、今日は天国に来たみたいです。
 冥途の土産になります。」といって手を握る・・・。
た、助けてぇ〜 天下のNHKの仕事なのに〜!
コスプレちゃうちゅーねん!!!
どいつもこいつも別料金とるで!ほんまに!
と思っていながらも職業病でついつい笑顔をふりまく看護婦であった。

外線電話
外線電話・・・・客からの電話・・・・。
入社したての時は ついつい緊張するものである。
しかし、できるだけ 取りたくないと思う瞬間に かかってくるものだ。
入社2日目、まだ 人の名前も何もわかない・・・。
ぷるぷるぅ〜 ぷるぷるぅ〜
  (うわ〜 鳴ってるで〜 いややなぁ〜 でも、ま、取る振りでもして
   やってるでぇ〜 って思わせとかなあかんわなぁ〜)

と思い 考えられないくらいゆっくりと受話器を取った。
「=====でございます。」
  (まぢかい! 繋がったやんけぇ〜。
   でも、人には焦ってる様子を悟られないようにしなければ。。。)

「●○製薬の▼ですが、石井(仮名)さんはいらっしゃいますか?」
「石井さんですね?少々お待ちください」
  (石井?だれやそれ・・・隣の人の名前さえわかんないのに・・・)
「あ、あのう 石井さんに電話なんですが??」と隣の人にきくと
「今日は 昼までで家に帰ったよ〜」と教えてくれた。
「大変お待たせしました。石井は本日、退職しました。」
「え? 石井さんやめちゃったんですか?」
「あわわ〜〜っ、 い、いえ〜 退社です。はい、すみません・・・(大汗)」
  (やばい・・・めちゃやばいこといったよ〜 おまけに隣の人こっちみてるよ・・)
「あ、新人さん?がんばってね、明日また電話しますから。」
「あ、ありがとう・・・ございます。電話があったことお伝えします。」
・・・・・その日 一日 何かに怯えたように電話が鳴るたび 心臓がばくばくして
どうしても電話を取れない私だった。・・・